前回は、単純にTextBoxを使用して「Hello, World!」の文字列を表示しただけだった。これだと、画面に入力を求める事しかできない。スケジュール管理ソフトを作るには、カレンダーやその日の予定やTODOを表示する必要がある。

このためには、自由に位置を指定して、線を引いたり、文字列を表示したりする必要がある。これにはCanvasクラスを使用する必要がある。

今回は、Canvasクラスを使用して、画面の左上に「Hello, Canvas!」の文字列を表示させる。また、画面のサイズをVGAに指定するようにする。また、Eclipseであまり警告が出ないようにプロジェクトを作成する。

プロジェクトの作成

前回と同様にプロジェクトを作成する。(細かな手順は前回を参照)

新規プロジェクトの作成のウィザードを開始し、「S!アプリプロジェクト」を選択
プロジェクト名は「HelloCanvas」とする。
ベンダー名は「com.example」、MIDletクラス名は「HelloCanvasMIDlet」とする。
MIDlet設定でMIDlet-1を「HelloCanvasMIDlet,,com.example.HelloCanvasMIDlet」、その他の設定に「MIDxlet-ScreenSize: 480,520」と記述しておく

MIDlet-1には、アプリの名前、アイコン、クラスをカンマで区切って記述する。今回のHelloCanvasHIDletのクラスはcom.exampleのパッケージに含ませる予定なので上記のように変更する。また、MIDxlet-ScreenSizeの属性指定して、画面のサイズをVGA液晶のモデルにしていしておく。
Javaクラスのダイアログでは、[パッケージ]に「com.example」を指定する。

(こうするとダイアログ上部の注意のメッセージは表示されなくなる。)

プログラムの作成

まず、Canvasクラスを継承した、HelloCanvasクラスを作成する。

HelloCanvasプロジェクトの中の、srcフォルダの下に、com.exampleのフォルダがあるので、それを右クリックして、[新規]-[クラス]と選択する。
[新規クラス]ダイアログで、以下を入力し[終了]ボタンをクリックする。(他はデフォルトのまま)
- 名前: HelloCanvas
- スーパークラス: javax.microedition.lcdui.Canvas
  
  [参照]ボタンをクリックしてCanvasを入力してクラスを選択してもよい

HelloCanvasMIDlet.javaファイルを以下のように編集する



package com.example;
import javax.microedition.lcdui.*;

import javax.microedition.midlet.*;
public class HelloCanvasMIDlet extends MIDlet implements CommandListener {

    private Command exitCommand;

    private HelloCanvas canvas;
    public HelloCanvasMIDlet() {

        exitCommand = new Command("Exit", Command.EXIT, 1);

        canvas = new HelloCanvas();

        canvas.addCommand(exitCommand);

        canvas.setCommandListener(this);

    }

    

    protected void destroyApp(boolean arg0) throws MIDletStateChangeException {

        // 何もしない。

    }
    protected void pauseApp() {

        // 何もしない。

    }
    protected void startApp() throws MIDletStateChangeException {

        Display.getDisplay(this).setCurrent(canvas);

    }
    public void commandAction(Command c, Displayable d) {

        try {

            if (c == exitCommand) {

                destroyApp(false);

                notifyDestroyed();

            }

        } catch (MIDletStateChangeException e) {

            

        }

    }
}

HelloCanvas.javaファイルを以下のように編集する



package com.example;
import javax.microedition.lcdui.*;
public class HelloCanvas extends Canvas {

    private Font font;

    

    public HelloCanvas() {

        font = Font.getFont(Font.FACE_SYSTEM, 

                Font.STYLE_PLAIN,

                Font.SIZE_SMALL);
    }

    protected void paint(Graphics g) {

        g.setFont(font);

        g.drawString("Hello, canvas!", 0, 0,

                Graphics.TOP | Graphics.LEFT);

    }
}

以上で、Canvasに文字列を位置して描画できた。次回からスケジュール管理ソフトらしいものを作っていく。

ettemのタコログ

Canvasクラスの使用〜スケジュール管理ソフトをS!アプリで作ってみよう(その4)

プロジェクトの作成

プログラムの作成