『天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話』を読んだ
- 作者: ウィリアム パウンドストーン
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
を読んだ。
なんとなく納得のいかなかった、効率的市場仮説やアクティブ運用の限界について、納得のいかない理由が判った。
投資市場をゲームのようなものと見た場合、効率的市場仮説の支持者は、投資をコイン投げのような完全に偶然に支配されるゲームに捉えてしまっている。それに対して、懐疑派は、麻雀のような、偶然にもある程度は支配されるが、プレイヤーの技量が影響する余地があるゲームと考えているのだと思う。どちらのゲームも平均をとれば、全てのプレイヤーは勝ちも負けもしないが、麻雀の場合は、かなりの確立で勝つ事ができるプレイヤーが存在しうる。
でも、麻雀には公開された必勝法は存在しえない。そんなものがあれば、全員がその方法を使い出すだろう。そうなったら、その方法で勝つ事はできなくなる。
効率的市場仮説の支持者は、そんな必勝法を示さない限り、自説を捨てないようだ。
この手の、研究や技術が、その対象に影響を与えてしまうような場合については、アイザック・アシモフが『
ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 ハヤカワ文庫SF
』で、心理歴史学の存在条件として、描いている。経済学者って、こんな事も分らないのか、と言う感想。